お役たちコラム
資金調達における電子記録債権とは?
- 2022.08.02
- 資金調達
債権には、代金債権や賃金債権などさまざまな種類があります。
その中でも、「電子記録債権」は近年特に普及が進んでいます。
本記事では、電子記録債権についてファクタリングとの違いと併せて解説します。
電子記録債権とは?
電子記録債権とは、全国銀行協会の電子債権記録機関が取り扱う債権のことを指し、手形の紛失リスクや事務手続きの複雑さといった問題を解決することができます。
既存の指名債権や手形債権とは異なる新たな金銭債権として、平成20年12月1日に施行された「電子記録債権法」には下記の内容が明記されています。
【電子記録債権とは,磁気ディスク等をもって電子債権記録機関が作成する記録原簿に電子記録をすることによってはじめてその発生、譲渡等が行われることとなる金銭債権です。】
なお、資金調達方法のひとつであるファクタリングとは、下記のようなポイントが異なります。
相違点 |
電子記録債権 |
ファクタリング |
契約締結 |
取引先が増えても新規契約は不要 |
取引先が増えるたびに新規契約が必要 |
責任の所在 |
元の債権者 (電子記録債権の譲渡時) |
利用者 |
電子記録債権の取引のイメージ
電子記録債権は、下記のような流れで取引が行われます。
請負契約の形式をとることが多いです。
建設前には設計図の開示や希望などをくみ取り、建設するものによりそれにより使用する
建材や工数などが異なるため、契約締結から建造物の引き渡しまでが長くなります。
電子記録債権の発生
資金調達をする方と融資をする側双方で取引が始まる際に、電子債権記録機関によって「発生記録」が行われます。
電子記録債権の譲渡電子記録債権の消滅
資金調達をする方と融資をする側以外の第三者に電子記録債権を譲渡することを、「電子記録債権の譲渡」と言います。
譲渡の際には電子債権記録機関に「譲渡記録」の請求をし、請求事項が「譲渡記録」を行うことで電子記録債権を譲渡することができます。
電子記録債権の消滅
金融機関を利用して融資する側の口座に支払いが行われた場合、電子記録債権は消滅します。
その後、電子債権記録機関は金融機関から通知を受けることによって、遅滞なく「支払等記録」が行われるのです。
電子記録債権を利用するメリットや注意点
こちらでは、電子記録債権を利用するメリットと注意点をご紹介します。
メリット
下記にて、資金調達時に電子記録債権を利用するメリットをご紹介します。
支払いに関する事務手続きの負担を軽減することができる
電子記録債権を利用すれば、決済日になれば特定の口座から自動で引き落としがされるため、支払いに関する事務手続きの負担を軽減することができます。
印紙税や登録免許税が不要
電子記録債権は手形とは異なり、印紙税や登録免許税が課されないため、資金調達における金銭的負担が軽減されます。
紛失や盗難の危険性がない
電子記録債権は手形とは異なり、特定機関にデータが記録・保存されるため、紛失や盗難といった危険性がありません。
注意点
電子記録債権を利用する際には、下記のポイントに注意しましょう。
会計処理の方法が変わる
電子記録債権は利用したいと思っても、支払期日や支払額といった情報の発生記録手続きを行わなければなりません。
取引先も電子記録債権を利用していなければならない
電子記録債権法は、利用者だけではなく取引先も登録・利用している必要があります。
しかし、電子記録債権法は施行されてしばらく経ちますが、世間ではまだ浸透していない傾向にあります。
そのため、状況によっては電子記録債権を利用できないことがあります。
発行手数料が必要
先述の通り、電子記録債権には印紙税や登録免許税が課されませんが、債券発行時の発行手数料は必要です。
おわりに
本記事では電子記録債権についてご説明しました。
電子記録債権は全国銀行協会の電子債権記録機関が取り扱う債権のことで、下記のようなメリットを持ちます。
- 支払いに関する事務手続きの負担を軽減することができる
- 印紙税や登録免許税が不要
- 紛失や盗難の危険性がない
自社、取引先とも登録が完了している場合、電子記録債権を利用してはいかがでしょうか。
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